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 日本を含む多くの国では、独自の公的年金制度を持っており、国籍を問わず、その国で働く人すべてを加入の対象としていますが、
これには
という2つの問題を抱えていました。
たとえば、日本国内の企業に勤める日本人社員が、3年の予定で海外赴任を命ぜられたとしても、いずれ日本に戻り、老後は日本で年金を受け取ることを前提に考えれば、日本の厚生年金に加入したまま海外赴任をすることになります。
一方で、その派遣先国においても、その国の法律により、派遣先国の公的年金制度に加入することを強いられることになります。これが二重加入(保険料の二重払い)問題です。
また、老齢年金は、どの国においても一定の加入期間(※たとえば日本は10年)が必要であり、3年から5年程度の加入期間では、ほとんどの国で老齢年金は支給されません。そうなると、3年の派遣期間中に加入を強いられて、派遣先国に年金保険料を払ったとしても、将来、老齢年金を受給できる可能性は低く、よって、保険料の掛け捨て、という問題が生じることになります。
そこで、この2つの問題をクリアするために、各国が1対1で条約を結ぶことになりました。これが、社会保障協定です。
※平成29年8月より、25年から10年に短縮されました。
他国の企業から一時的に派遣され就労する人については、派遣期間が原則5年を超えない見込みの場合に、その期間中の派遣先国での年金加入が免除されます。
これは、あくまでも海外で雇用されている人が日本に派遣される、または、日本で雇用されている人が海外に派遣される場合にのみ適用となりますので、日本人が本人の意思により外国で就職活動をし、また、外国人が本人の意思により日本で就職活動をして採用された場合には、社会保障協定の適用対象とはなりません。
原則として派遣期間が5年以内の短期就労に限りますが、国によっては3年程度の延長が認められる場合もあります。
 仮に、日本で5年間公的年金に加入していた日本人が、アメリカに4年間赴任し、その間、日本での年金保険料を払わず、アメリカでアメリカの年金保険料を払っていたとします。
また、その後日本へ帰任し、定年まで4年間日本の公的年金に加入し現役を退いたとします。
この場合、日本での年金加入期間は通算9年(日本の最初の5年+日本での最後の4年)なので、通常であれば、日本での老齢年金の受給権は発生しないことになります(10年に満たないため。)
しかし、アメリカとの社会保障協定により、年金加入期間を13年(日本の最初の5年+アメリカでの4年+日本での最後の4年)とすることで、日本での老齢年金の受給権が発生し、老齢年金を受け取ることが可能となりました。
ただし、受給額は、あくまでも日本で9年間に支払った保険料に相応する金額となります。また、同様にアメリカの年金受給権も発生し、支払った4年分の保険料に相応する老齢年金を受け取ることができます。これにより、アメリカで支払った4年分の保険料を掛け捨てに終わらせることなく、意味のあるものとなりました。
イギリス・韓国・イタリア・中国の協定には、この保険期間の通算措置は含まれていませんので注意しましょう。
令和元年11月現在の状況は以下のとおりです。
協定が発効された国  |  協定発効月  |  
|---|---|
ドイツ  |  平成12年2月  |  
イギリス  |  平成13年2月  |  
韓国  |  平成17年4月  |  
アメリカ  |  平成17年10月  |  
ベルギー  |  平成19年1月  |  
フランス  |  平成19年6月  |  
カナダ  |  平成20年3月  |  
オーストラリア  |  平成21年1月  |  
オランダ  |  平成21年3月  |  
チェコ  |  平成21年6月  |  
スペイン  |  平成22年12月  |  
アイルランド  |  平成22年12月  |  
ブラジル  |  平成24年3月  |  
スイス  |  平成24年3月  |  
| ハンガリー | 平成26年1月 | 
| インド | 平成28年10月 | 
| ルクセンブルク | 平成29年8月 | 
| フィリピン | 平成30年8月 | 
| スロバキア | 令和元年7月 | 
| 中国 | 令和元年9月 | 
現在、イタリア・スウェーデン・フィンランドとも協定署名が済んでおり、あとは発効を待つのみとなっています。
当初、年金の二重加入防止が目的でしたが、国によっては年金保険が単独で運用されておらず、医療保険や雇用保険などもオールインで運用・管理されている国もあります。
そのため、国によっては、社会保障協定で対象となる保険制度が年金のみならず、複数の保険制度にまたがります。
相手国  |  期間通算  |  対象となる保険制度  |  |
|---|---|---|---|
| 日本 | 相手国 | ||
ドイツ  |    有 
 
 
 
 
 
  |    年金 
 
 
 
 
 
 
 
 
  |  年金  |  
| スペイン | |||
| アイルランド | |||
| ブラジル | |||
| インド | |||
| フィリピン | |||
イギリス  |    無 
  |  ||
| 韓国 | |||
中国  | |||
アメリカ  |    有 
 
 
 
  |  年金、医療  |  年金、医療  |  
ベルギー  |  年金、医療、労災、雇保  |  ||
| ルクセンブルク | |||
フランス  |  年金、医療、労災  |  ||
カナダ  |    有 
 
  |  年金  |  公的年金制度  |  
※ケベック州除く  | |||
オーストラリア  |  退職年金保険制度  |  ||
オランダ  |    有 
 
 
  |    年金、医療 
 
 
  |    年金、医療、雇保 
 
 
  |  
チェコ  | |||
| スイス | |||
| ハンガリー | |||
| スロバキア | 有 | 年金 | 年金、労災、雇保 | 
| イタリア | 無 | 年金、雇保 | 年金、雇保 | 
派遣元国の保険者窓口(日本では年金事務所や健保組合)で、その派遣元国の公的保険制度に加入していることの証明書を発行してもらいます。これを適用証明書といいます。
派遣先国では、その保険者窓口にて、派遣元国の適用証明書を提示することにより、その国の公的保険制度の加入が免除されます。
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